馴染みの床屋を替えるのは勇気がいる。しかし、床屋のオヤジはムッラケがあるようで、替えざるえないことが起こってしまう。

こ こに移り住んでから、20年以上馴染みの床屋があった。ところが、ある日、床屋のオヤジが私の予約の時間に帰って来ない。奥さんが、Mさんが待っているか ら帰って来るようにと、奥で電話しているのが聴こえる。ほっそりして美人の奥さんの話では、悪い女に引っかかって、その悪い女のところから帰って来なく なったそうだ。どんな悪い女か私にはわからないが、ほどなく店は閉まってしまった。

次に見つけた床 屋のオヤジはこの土地の生まれだった。話嬰兒濕疹好きで、ハサミを動かしながら、昭和の時代は靴も買えないほど貧しかったこの土地の人が、土地成金になって、成功 した人、身を崩した人など、土地の歴史を詳しく解説してくれる。それが、ある日行ったら店も家も閉まっているではないか。そう言えば、「床屋なんて やっ ていられないよ、この土地と家を売って、小さなマンションを買って、余ったお金で…」と言っていた。実行したらしい。身を崩していないこを願っている。

それから、何軒か行った。基本料金が高いのに、さらにオプションメニューのマッサージを勧められたりとか、もう近くには行ける床屋がなくなった。

そしてついに、10分仕上がり、1000円カットの床屋です。だいたい私の頭なんて、10分でカットできるの程度のもので、時間をかけても仕上がりに大差があるはずがない。もっと早く来れば良かったと反省している。

そう言いながらも少し不安は牛奶敏感ある。カットする人を指名できない。それに人の入れ替わりが激しいようだ。だからリスク回避のために、少し長めにカットしてもらう。

1000円カットで気づいたことは、うまい人ほど速い。ハサミにリズムがある。今日の人は初めて見る人だった。目を閉じていると、いやにハサミが慎重である。目を開けて鏡を見るのが怖くなっている。